こんにちは。NPO法人学生ネットワークWANの田中です。
多様化する女性の働き方をテーマにした経済産業局主催“GirlsTalk2017”に参加した後、同イベントで講演された、ゲストハウスウエディングで有名なアイ・ケイ・ケイ株式会社の金子社長にインタビューしました。
【イベントレポートはこちらから】
→【参加者レポート】GIRLS TALK 2017~多様化する女性の働き方・ライフスタイル~
│学生時代にやりたいことを見つけるのって大変?
─ 大学生である私と同じ世代(20歳前後)でやりたいことがわからないという子が多いです。その中には、結婚したら絶対仕事やめたいなって思っている女学生もいます。どうしたら、やりたいことって見つけられるのでしょうか?
それはそれで選択肢ですが、学生の方は基本的に見えている道が少ないんです。
勉強してきてアルバイトして、じゃあ他の仕事はどうなのかって情報が無いので、すごく表面的なんです。
そこでひと月なり半年なり仕事して、「仕事ってこういうものなのか」と経験してみてもいいと思います。同じウエディング業界でも会社によって社風が全然違いますから。
─ 学生時代に、社会に触れる機会を持つことってやっぱり大事ですか?
大事ですね。僕は、勉強以外によく触れていました(笑)
─ 具体的にどんなことに触れたのですか?
僕は大学へ行っていないです。2年間、予備校に行っていたのですが、籍を置いているだけで昼も夜も遊んでいました。アルバイトで給料をもらって遊ぶの繰り返しでした。
その反動で、今は勉強を親身にしていますけど、父母は商売をちゃんとしていたのに、2年間大学浪人して遊んできた自分はバカ息子でした。
ですが徐々に、勉強きらいな適当な人間は、自分を見守ってくれた父親母親に寂しい想いさせるなって感じました。だから、母親や父親のために少しずつ商売してきて少しずつ勉強し始めました。
その後交通事故で入院して、この事業(当時はホテル事業)をやめようと思っていたときに、すべての責任を僕がとらなければならないと思って、これでくるっと変わったんです。
─ そこで、覚悟のようなものが生まれたということですか?
覚悟と死生観ですね。
死生観に関わる人間普遍の心理は4つあると思うんです。
- いつか必ず死ぬ
- たった一度の人生
- 自分という存在は一人だけ
- 自分の人生は自分で生きるしかない(自分の人生は他人と入れ替わることができない)
そう思ったときに、たった一回のジブンの人生とたった一人のジブンを歩まないと僕は父親にも母親にも僕自身にもご先祖様にも申し訳ない。と思って今少しずつ仕事しています。
─ 今のお話から、その死生観という考えが「人を大事にする」という社風にも結び付いていると思いました。
うちのスタッフ一人一人もたった一度の人生です。たった一度の人生をのんびり過ごすのか、適当に過ごすのか。
これは個人の生き方ですが、仕事は人のためになるものです。それは自分のためにもなり、他人のためになる仕事を徹底しあっている。喜んでもらおうと。
ウエディングですからお客様の感動のためっていいますけど、その前に私たちはお客様の幸せのためなんですね。幸せってどういうことだとおもいます?
目と目があって、にこっと「こんにちは」これも幸せと感じます。ちょっとしたことで幸せを感じるそれって、人財じゃないかなって思います。
─ 挑戦する人を評価するという社風ですよね。
なぜかっていうと現状維持は成長ですか?後退ですか?明確に後退です。なぜか?
人間は宇宙根源の法則では必ず進化しなくてはならない生き物である。そうしたときに現状維持はもったいないことだと思うのです。
─ 他人にどんどん挑戦させて任せていくという姿勢がすごいと思いました。
やっぱり任せられる人には条件があって、一つ目は理念通りに働いているかどうかですね。二つ目は良い主案をつくりきれるかどうか。理念通りに働いて、良い主案をつくりきれれば、その人の成果をつくりきれるかに結びついてきますよ。
チームって一人ではできないんですよ。でも、一人でなにもできない人はチームになっても大してなにもできません。だから、きちっと個人でステップアップしながら仕事をする姿勢が大切です。
─ 「お客さまの感動のために」という理念ですが、感動の定義はなんだとお考えですか?
お客さまへ感動といいますけど、その前にお客様の幸せと感動があると思うんで、さっきも社員の話をするときにも話しましたけど、ニコっとするのも幸せ、おいしいものをたべるのも幸せって思う。毎日三ツ星レストランに行けば、感動は生まれると思いますか?感動って最初の1.2回なんですよ。
慣れると生まれないものなんです。感激は一瞬ですし、感動は深く心にのこるものです。それはその人の心の引き出しにしまわれて何か起きた瞬間に出てきます。その引き出しは幸せっていうものを数多く積み重ねたものです。幸せの積み重ねが感動を生むと思います。
─ 感動を生むために欠かせないことってなんですか?
おもてなしが必要だと思います。おもてなしというのは受け手からあなたがいてよかった、ありがとうと思ってもらえることです。一生懸命その人のためになにかしても、”そんなことしてほしいんじゃないんだけどな”っていうことあるじゃないですか。
その相手から「あなたがいてよかった。ありがとう。」といってもらえることこそおもてなしだと思いますね。その積み重ねでしかないと思います。
│金子社長から今の学生に伝えたいことを教えてください!
─ 今の学生に求めていることってありますか?
自分のここちよい空間といいますか、やりたいことを好きなようにやればいいと思います。ぼくもやりたいことをやってきましたから。学生時代はたくさん遊んできました。でもそれだけやっていると虚しいんです。
勉強もない、仕事もない、と虚しいんです。やっぱり、勉強は勉強、仕事は仕事、遊びは遊びとバランスを保ちながら、自分らしくいられる場所を見つけることが大切だと思います。
きっとすべてできなくて中途半端になってしまう人もいると思うんですけど、人間は神様じゃないんで仕方ないんです。人間はいいところ半分、悪いところ半分もってるのです。だから、悪いところの面も見ると悪い人に見えますし、いい人もたまに悪い面が出てきたりします。
人間はいいところ半分、悪いところ半分っていうことを知っておくことが大事なんです。好き嫌いはありますけど、人間はそういうものだから。
今、自分は勉強ってなんの勉強しているかというと理念と経営の勉強もしていますし、人間の勉強もしています。中途半端な私ですが、私がすべてという人もいるんです。そういう人のために、ぼくは自分になにができるかということを常に問いています。
─ これから多様化する社会でいきる若者に最後にメッセージをお願いします。
悔いがない人生を送るしかない。いかに一瞬一瞬をどう生きるか、一生懸命生きようと私は思わないけど、どう生きるかが大事でしょうね。
だから、選択肢があれば後悔しない道を選ぶ。後悔する道は選ばない。僕は、16店舗たててますけど、そのほとんどがここにオープンしなければ、自分は後悔すると思いました。
私は経営者、トップとして悔いがのこると思ったからですね。そういう選択ができる人になることが大切だと思います。難しいですよね。僕もこの年になって、やっと大事だなと改めて思うことができています。10代、20代後悔しっぱなしでした。なんでもトライしてください。
─ 金子社長!ありがとうございました!
インタビュア感想
田中
人生の中で重要な選択ってこれからたくさんあると思います。その中で決断するってすごく勇気がいることなのではないかなと感じます。
多様な社会が認められていくであろう未来は何があるかわからないですし、きっと選択肢は1つ2つだけではなくなると思います。
将来のことを考えたときに、私たちはどうしても不安になりがちです。後悔しない選択肢をとるときに死生観という考えは一つの道しるべになりそうだと思いました。
当たり前ですが、たった一度きりのジブンの人生をどう生きたいのかということはこれから常に問い続けながら生きていきたいです。
米澤
人生とは、自分だけでなく、周囲の方々の幸せをどう実現できるか考えつつ歩んでいかなければならないものだと思います。
なので、金子社長が下さった、「学生ではその実現方法をあまり知らず、知っていても表面的な理解にとどまっているから実際に経験して理解した方がいいのでは?」、というアドバイスに共感しました。
ただ、そうやって自分から人生の選択肢を広げて選び取る場面においては、どうしても心理的なハードルを乗り越えなければならないと思います。
しかし、その時こそ、「たった一度の人生を生きる、たった一人の私」という金子社長の死生観に立ち戻って、何事にも挑戦していくマインドが重要なのではないかと思います。